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■出会い

■初めての入院と手術

■ハゲ発見!

■病気との闘い

■別れ・・・

■よもやま話


病気との闘い
いつものように、診察と注射をされたキリオの様子が、突然おかしくなった。

カゴに戻されたキリオはフラフラとし、クチは半開きで止まり木から
落ちそうになった。
どうしたんだろう?

先生が戻ってきたので聞いてみる。
「何だかフラフラして様子がおかしいんです」
「アレ?本当だ。ちょっと心音を聞いてみよう」

確かに心音は、普通より少しゆっくりになってるらしかった。
「この子は心臓が少し弱いのかもしれない」

その言葉に一瞬、ドキリとなる。ウソだろッ?!

「とにかく、注射はあんまり今度からしないようにしてみます」
なんでなんで?!
せっかくハゲも、生え替わりも調子良くなってきたのに・・・!

それから定期検診の時は、注射をしなくなったせいか、
あまり発作を起こすようなことはなくなった。
けれど、だんだんと脚力が弱くなってる様子に気づく。

                 


そしてある日、それはちょうどもう間もなくキリオが満7歳になろうと
していた時だった。

突然、キリオの身に重大な事が起こってしまった。

止まり木に留まれなくなってしまったのである。
ご飯も食べにくそうで、身体を重そうにうんしょ、うんしょという感じで、
横移動をする。

ご飯の入れ物と水飲みは、カゴの端と端にあるため、
水飲みまで行くのがとても辛そうだ。

げっ?!一大事だっ!速攻病院だーーーッ!!

診察の結果、キリオは、どうも人間でいうパーキンソン病か、
脳性マヒの疑いがあるとのことだった。

そんな・・・!!
絶句した。進行性のある病気・・・。
それは最終的にキリオが背負わされた病気だった。

「まだ、文鳥については知られていない部分がたくさんあるので、
 取りあえず進行を抑える飲み薬で様子を見ましょう。
 2〜3日後にまた診せて下さい」
と先生はいった。

朝晩直接飲ませる薬と、以前から飲ませている2種類の水飲みに溶かす薬。
この日からキリオは薬づけの生活となってしまった。

                 


ウチに戻ってから、キリオのためにカゴの中の大改造を始める。
それは、カゴの中の段差を無くすことだった。

カゴのサイズに合わせ、段ボールと発泡スチロールを用意し切る。
それを中にはめ込み、止まり木との段差を無くす。

そして先生の提案で、止まり木には柔らかい人間用のテーピングを巻き、
止まり木から滑り落ちないようにしてやる。
ご飯と水飲みも小動物用の丸い皿状のものに変えた。

そんな作業をしてる間、もしかすると、キリオとの別れが近づいている
のではないかという思いが頭を過ぎり、涙が出そうになった。

出来上がったカゴは、キリオにとってかなり移動が楽になった様子で、
キリオは何だか嬉しそうだった。
そしてご飯を食べ終わると、「出して」と鳴いた。

自分から出れないため、カゴに手を入れ、キリオを手の上に乗せ出してやる。
キリオは手の中で甘えた声を出し、うとうとと気持ちよさそうに眼をつむった。
また、別れが来そうで涙が出そうになる。

キリオ・・・。お願いだから長生きして・・・!
せめて、あと2年は一緒にいてよ・・・。

                 


それから一ヶ月後、病院通いは一週間に一度になり、
キリオは薬が効いてきたのか、横移動もできるようになっていた。

ある日、キリオが自分でカゴから出ようとしているのに気づいた。
”ええっ?!自分から出ようとしているッ?!”

でもまだ、自分からは出れそうにない。
だけどこの光景を眼にした時、本当に嬉しかった。

もしかすると、もうちょっと長く私の元にいてくれるのかもしれない。

                 


この日を境にキリオは、少しずつ良くなってるように見えた。
脚の力も少し戻って、止まり木にちゃんと掴まれるようにもなっていた。

そしてついに、自分で飛んだ!
ほんの少しの距離だけど、自分の脚で床を蹴り飛んだ!

”すごい、すごいよ!!キリオ!!!”

キリオの調子はどんどん良くなっているようで、
2週間後、かなりの距離を飛べるようになっていた。

私の後も歩いてついて回れる。
水浴びもしたそうな素振りもしている。

でも、そんなキリオを見て、ほんの少し不安が頭を過ぎった。

”何だか無理をしてるんじゃ・・・?”

でも、このキリオの様子はとても嬉しい。
嬉しいけどあんまり無理しないで、キリオ・・・。
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