懐古編(仮)

  懐古編 第一話

一体どれほどの時間、眠り続けていたのだろうか。

障子戸から差し込む、
眩しい朝陽に目を細めながら侍は目覚めた。
ぼんやりと脳裏に浮かぶのは、
あの一方的な戦いであった。

そう、夜屍斗により深傷を負った彼は、
ラグを雫の元へと送り届けた後戻ってきたルトと、
彼の愛馬によって庵へ運ばれたのであった。

普通ならば命を落としていたかもしれぬ傷であった。
しかしながら、
またもや彼をその死の淵から呼び戻したのは、
雫の吹く文鳥笛とルトの声だったのである。




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