「う・・・ん?」
ルトが目を覚ますと、そこは薄暗い洞穴ではなかった。
「あれ・・・?ここ・・・??」 「気づいたか?」
声を掛けられ見ると、 そこには見知らぬ男が傍らに座っていた。
「だ?誰でしかっ?!!」 ルトは思わず後ずさる。
「そんなに身構えなくとも、捕って食ったりはしないさ」 男は苦笑した。
「ついにアイツはここへ来たか・・・」 「え・・・?なんでしって??」
ルトはそういった男の顔を改めて見た。
「あ・・・っ?」 「なんだ?」 「むむむむ。 似てる・・・なーんか似てるでし・・・」
その男の髪色は、陽に焼けたように茶色で、 肌は浅黒かった。 が、どことなく彼を思わせるような、 そんな容貌を持っていた。 額や頬には傷があり、 連戦錬磨をくぐり抜けてきたような感じだ。
「あのっ!」 「なんだ?」 「あなたは一体誰なんでしか?」 「知りたいか?」 「んもー!そういう答えは止めて下さいでしよ!!」
ルトはハッキリとしない口調に苛立つ。 男は笑った。
「いずれ分かる時が来る。 アイツとお前の敵ではないことは確かだ」 「へーえ・・・?」
疑り深そうな目つきをするルトに苦笑しつつ、
「それはそうと・・・」
と男は話を切り出す。
「どうやらマズイことになった」 「えっ?どういうことでしか?! ということは・・・ 侍の身に何か起こったんでしかっ?!! なら、早く戻らないとー!!」 「それはそうなんだがな・・・」 「助けてくれたお礼は言うでしけど、 ボク、あなたに構ってられないでしよッ!」
ルトは洞穴へ戻ろうとする。 男はルトを捕まえ、 「まあ、待てというのに!せっかちなヤツだ」 と言った。
「ちょっ?! もう!離して下さいでしよー!」 ジタバタするルト。
「もうすぐ陽が一番高いところに来る。 その時が行く瞬間だ」 「へっ?」 「それまでアイツが持ち堪えてくれるのを願おう」 「え? 何言ってんのか全然分からないでしってー!!」 「大丈夫だ。 お前の大事なアイツは、そう簡単にくたばらんさ」
と、男はニヤリと笑ったのであった。 |